はアルコールの乱用と言える。 2.直接的、又は間接的に市民全体に影響を及ぼすような破壊的な誤用は、公衆衛生の問題であるとも言うことができる。 3.公衆衛生の問題は、社会における選ばれた一部の人々の個人的選択に限ったものではなく、全ての人々が生活し、仕事をする社会システムの一部としてとらえなければならない。 4.飲酒が関与する問題を減少させるには、個人の生活と環境の両者への介入が必要である。 5.予防策として、一般大衆に対する情報提供と教育に加えて、酒類の入手に制限を設けることが必要となる。基本的には酒類を購入できる最少年齢を適切に定めるにと、他の商品やサービスとの比較から酒類の値段を決定すること、酒類の販売場所と販売時間の制限、飲酒運転など危険を伴う飲酒に対する法律による処罰を挙げることができる。 6.アルコール飲料は使用法を誤ると非常に危険な飲み物となる。アルコール飲料は有害となり得る。ソフトドリンクやジュースとは異なる。決して食物の代わりにはならない。また、気分に変化を生じさせる作用があるため、公衆の幸福と安全を守るためには特別な配慮が必要な飲み物である。
?V.研究計画 異なる地域において、先に述べた5つの予防要素それぞれについて試験した。しかし、相互補強、又は相乗効果を狙った包括的プログラムと一緒には行わなかった。各要素それぞれに目標と目的があるが、本効験試験では出来る限り全ての要素が相互補強し合う結果が出るよう計画されている。 本地域試験プロジェクト(The Community Triaks Project)では、公衆衛生における環境面からのアプローチに基づいている。不慮の事故や死亡につながる恐れのある危険な行動や状況と関わるような飲酒行為が減少するよう、地域社会に構造的変化をもたらすというのが、主要なアプローチである。プロジェクト実行上の理念となっているのは、地域社会が、アルコール関連傷害や死亡を減らすために、効果的、長期的な変革を図るのを支援するという概念であり、個人の飲酒形態そのものを変えようというものではない。この理念は、5つの要素すべてに反映されている。 本研究では防止策の効果を試すことを目的としているため、試験対象として防止策の介入を行う地域は「無作為」には選ばず、本研究で実施しようとする包括的戦略に関心を持ち、試験結果の統計的評価に十分足り得る人口を備えた地域の中から意図的に選んだ。比較検討のための対照地域は、地域的、地理的特徴(同一州、同一地方であること等)、工業、農業のべース、少数民族の構成が被験地域と類似した地域であることを基本として選択した。被験地域と対照地域の対を3つ作った。どの町の人口も約10万人で、それぞれアメリカのカリフォルニア州北部、カリフォルニア州南部、サウスキャロライナ州に位置する都市である。 カリフォルニア州北部の被験地域は、モントレー湾の内陸に位置する町である。対照はサンフランシスコから90マイルのところにあるサンジョーキン渓谷(San Joaquin Valley)北部の町を選んだ。どちらの地域も商業、農業の中心地であり、最大少数民族はどちらもスペイン語を母国語とする民族である(40〜50%)。
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